本日、靴が完成しました。
本当は昨日完成する予定だったのですが、昨日の時点ではまだ皮がなめし終わっていないということだったので、今日の完成となりました。
職人のお父さんの手仕事、お母さんの手仕事、息子さんの手仕事、娘さんの手仕事、皮なめし職人さんの手仕事、お客様の手仕事、そして私の不器用な手仕事。
たくさんの手仕事が詰まったこの靴、私の宝物です。
さて、最後の行程「皮の靴底」。
先日の生地では羊の皮と紹介していましたが、なんと「ゾ」の皮が用意されていました。

職人のお父さんいわく「ゾ」の皮は羊の皮よりも質がいいとのこと。
「ゾ」は牛とヤクの掛け合わせの、牛よりちょっと毛が長い、
ラダックでは良く見られる動物です。
お客様から、昨日は皮なめし職人が家に来て一日中作業をしていたと聞きました。
皮についていた毛を剃り、肉を落とし、油を塗って伸ばして、叩いて・・・。
一日がかりの大変な作業だったそうです。
ちなみに皮なめし作業代は、玉ねぎ数キロで支払われていたそう。
なんともほほ笑ましい、
ザンスカールの人たちらしい支払い方法です。
(なめし終わった皮からは、奈良漬のようなかほりが漂っていました)
そして本日その皮は、お父さんの手により靴の底に取り付けられました。
皮を切ります。

皮は常に濡れた状態でなければいけないとのことで、その時飲んでいたバター茶を口から皮に吹き付けながらの作業。
ザンスカールの人たちの、このワイルドさがたまりません。
皮に縫い目の穴をあけます。

息子も手伝います。

いよいよ皮を縫いつけます。

作業風景

縫いつけが終わると、あとは形を整えるのみ。
食用の「豆」を靴の中に入れて形を整えます。


ついに、ついに完成。

明日、明後日はストックでグルツェチュのお祭りが開催されます。
私たちは明日みんなでお祭りに行く予定。
お母さん、お客様、そして私、3人お揃いの靴を履いて、盛装して出かける予定にしています。
出来たての新しい靴が早速活躍します。
素敵な靴が完成して、とても幸せな気分です。
「5-6年は履けるよ」とお父さんの一言。
底が擦り切れても、布が破れても修繕して一生履き続けますヨ!